《4》 羽開くとき 4 - ナイショの妖精さん1
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《4》 羽開くとき 4

  12, 2018 21:21
20181108


「けっきょく、綾ちゃんも、ほかの女子たちと同じなんだね。男子を顔で選ぶんだ。なんか、がっかり。中条なんて、顔がいい以外は、なんの取り柄もないサイテーオトコなのに」

「有香、ちょっと言いすぎ」

「だけど真央だって、そう思うでしょっ!?  あいつが綾ちゃんに近づいたのはきっと、クラスの女子の中で、わたしたち三人だけが、自分のことを好きじゃないのが、気に食わなかったからなんだよっ! 綾ちゃんを落として、落ちたら落ちたで、どうせ、すぐにポイ捨てする気だよっ!! 」


 ち、ちがうっ!

 あたしの知ってるヨウちゃんは、そんな人じゃないっ!!


「有香ちゃん、やめてっ !!」


 あたし、金切り声でさけんでた。


「ヨウちゃんは、そこまで身勝手な人じゃないよっ! ヨウちゃんにだって、いいところはいっぱいあるよっ! 校外学習のとき、あたしをさがしに来てくれたし。リコーダーだって、見放さないで最後まで教えてくれたっ! なんにも知らないで、ヨウちゃんのことを、そんなふうに言わないでっ!! 」


 クラス中が静まり返ってる。

 あたしたちのケンカ、みんなにもきかれちゃってる。


 あたしは、うつむいたままで立ちあがった。

 自分のうわばきだけを見つめて、自分の席へ歩いていくと、前に大きなうわばきが立ちはだかっていた。

「中条」って、うわばきに書いてある。


「……綾……」


 ヤダっ! ほっといてよっ!!


 うつむいたまま、あたしは、大きなうわばきから目をそらした。


 ガタンとイスを引いて、自分の席に座って。つくえの上につっぷした。


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