《3》 アホっ子ちゃん、がんばる 2 - ナイショの妖精さん1
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《3》 アホっ子ちゃん、がんばる 2

  23, 2018 22:41
2018102201




「現実にもどれ」



「……え?」


「おまえ、いいかげんにしろよ。おまえがアホっ子なのは、オレもよく知ってるけど。そこまでは、ナイだろ? そりゃあ、自分がファンタジーと同化して、夢の世界にひたってたいのもわかるけど。さすがにもう、そんなの通用する歳じゃねぇよな?」


 え、えええ~っ !?


「なにそれ~っ !? ヨウちゃんだって、たった今、フェアリー・ドクターになったばっかりじゃないっ!」

「それはそれ。これはこれだ! まだ半分信じられねぇけど、妖精って生き物が、この世に存在するってことは、オレも認めなきゃならないのかもしれない。

けど、それはたとえば、新種の動物を見つけるのと同じだろ? 地球は広いんだから、オレらが認識してない生き物が存在する可能性は、もともと0パーゼントじゃない。

でもな、おまえの妄想は0パーセントだ! 人間として生まれてきた和泉綾は、どうあがいても、人間なんだよっ!! 」


「ひ、ひ、ひどい~っ!!  あたし、この話、今までだれにもしてこなかったんだよっ !? ヨウちゃんなら、信じてくれると思ったのに~っ!」


 サイアクっ!

 もう、サイアクっ !!


 せっかく、せっかく、見直したのに!


 こんなヤツ、ただのオレサマで、ビビリでヘタレのへなちょこりんだーっ !!







 キンコーン、カンコーン。


 チャイムが鳴って、休日明けの二時間目がはじまる。

 たいていの男子は目をかがやかせるけど、あたしは胃がぐ~って痛くなる、体育の時間。

 体育着のシャツに着がえて。紺色の短パンをはいて。ダッサダサの紅白帽子なんかかぶらされて。

 あたしは、砂ぼこりのあがる校庭で、む~って、ふてくされてる。


 ほら、人間の世界ってさ、「ああなったらイヤだな」って思うときにかぎって、なぜだか、そのとおりになっちゃうこと、あるじゃん。

 そう思わなかったら、たいていはならないのに、「きょうにかぎって、なんでよっ !?」ってこと。

 例えばクラスのじゃんけん大会で、「勝ちのこった三人が、トイレ掃除当番」ってときに、勝ちのこっちゃったり。

 大っ嫌いな人がいて、その人とだけはいっしょのチームになりたくないってときに、バッチリ、その人とあたっちゃったり。


 たった今、それが、あったとこ。


 なんであたし、バスケットボールまで、あいつと同じチームでやんないとなんないの?

 こないだの校外学習のとき、同じ班で、がまんしたばっかりなのに!!


「いやぁ、今回の綾投入は、どう考えてもハンデだね。あいつは、体育だけはできすぎるから。チームの実力を平等にするために、先生が、運動オンチの綾を同じチームに加えたんだよ」


 あたしのとなりで腕を組む、真央ちゃんのセリフが痛い。



 く……あたしは、ハンデ。





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