《2》 妖精のお医者さん 19 - ナイショの妖精さん1
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《2》 妖精のお医者さん 19

  22, 2018 20:14
20108092801



 穴からとびだすと、太陽の日差しがほっぺたをさした。

 青い空。赤紫色のお花畑を、妖精たちが飛んでいく。
 銀色の羽をはばたかせて。右に左に飛びまわり、やがて空高くあがり、太陽の光で見えなくなる。


「い……行っちゃった……」


 一瞬のできごとすぎて、ぜんぶ夢だったみたい。


 ペットボトルと、のこりのブラックベリーの枝を左手にさげて、中条が砲弾倉庫から出てきた。


「和泉!」


 すっとあたしの前で、中条の右手があがる。


 え、えっと、これって……。


 ごくっと、つばを飲み込んで。あたしも左手を高くあげて。

 パチンと、中条の手のひらが、あたしの手のひらをたたいた。


 ハイタッチ!


「やったなっ!」


 鼻の上にしわをつくって、中条が笑った。









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