
穴からとびだすと、太陽の日差しがほっぺたをさした。
青い空。赤紫色のお花畑を、妖精たちが飛んでいく。
銀色の羽をはばたかせて。右に左に飛びまわり、やがて空高くあがり、太陽の光で見えなくなる。
「い……行っちゃった……」
一瞬のできごとすぎて、ぜんぶ夢だったみたい。
ペットボトルと、のこりのブラックベリーの枝を左手にさげて、中条が砲弾倉庫から出てきた。
「和泉!」
すっとあたしの前で、中条の右手があがる。
え、えっと、これって……。
ごくっと、つばを飲み込んで。あたしも左手を高くあげて。
パチンと、中条の手のひらが、あたしの手のひらをたたいた。
ハイタッチ!
「やったなっ!」
鼻の上にしわをつくって、中条が笑った。
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