
……まぶしい。
あたしはそっと目を開けた。
ほっぺたを熱くしていた太陽の光が、わっと目の中に飛び込んでくる。
……お、終わった……?
どこかで、ピーヒョロロロって、トンビが鳴いてる。
まばたきをくり返しながら、あたしは胸を起こした。
「……え?」
重みを感じて、お腹の上を見たら、太い右腕がのっかってた。
まくらにしてた丸太みたいなものも、よく見たら、だれかの左腕。
な、な、なにっ !?
「う、うわっ !?」
パッとまくらの腕がなくなったと思ったら、中条があたしから身をそらして、上半身を持ちあげてた。
顔、耳まで真っ赤っ赤。
「な、な、な、なにすんだっ!? 」
「し、知らないよっ!! それはあたしのセリフだもんっ!」
ヤダもう、どうなっちゃってんのっ !?
これじゃ、あたしが、中条の腕まくらで寝てたみたいじゃんっ!
中条、「はぁ~」とか頭を抱えちゃってる。
「お……おそるべし、洗礼……」
フンだ。中条のことを好きな女子じゃなくて、残念だったね!
あたし、よいしょって立ちあがって、パンパン、スカートについた芝をはらった。
Tシャツからのびる腕を見たら、銀色のチカチカなんて、どこにもついてない。
いつものふつうの、あたしの腕。
顔をあげると、中条も自分の手足を見おろしていた。
琥珀色の目がふっと動いて、あたしを見る。
「ためしてみるか? 妖精治療。オレたちが、本当にフェアリー・ドクターになったかどうかテストだ」

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