《2》 バレンタインデーは大好きなキミと5 - ナイショの妖精さん5
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《2》 バレンタインデーは大好きなキミと5

  24, 2022 19:35
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 けっきょく、三時間目には、ヨウちゃんのつくえまわりは、すっきりかたづいていた。

 休み時間に走りまわって、クラスの女子や下級生の女子をひとりひとりあたって、チョコを返してきたみたい。

 で、つかれたらしくて、本人はつくえに顔をふせて、居眠りしてる。


「……すごいな、中条」


 真央ちゃんの席に、有香ちゃんとあたしであつまって、三人でヨウちゃんのほうをチラ見。


「正直言って、あそこまでするとは思わなかったよ。あれは、マジ惚れだな」


「……で? 綾ちゃんは?」


 有香ちゃんが、メガネ越しにあたしを見た。


「チョコ、わたしに行かないの?」


「い、行くよ! 行くけど……」


 けど、あたしのなんて、刻んで、別の型に流し込んで、かためただけで……。


「あ。真央ちゃんは? 校長室アタックしてきたの?」


「バッチリ!」


 真央ちゃんが親指をつきだした。


「朝一番で、校長先生に手わたしてきたぜ。めっちゃよろこんでたよ~。はじめて児童からもらったって!」

「……真央、それって、たぶん……恋愛対象に見られてないよ?」

「いいんだよ! これを期に、うちのことを覚えてもらったんだから。卒業したら、あらためて告白するんだ」


「真央ちゃん、積極的~」


 あたしは、ほわ~と息をはき出した。


「つ~か、うちは、ここで行かない綾のほうが、わけわからない」


「ほら、綾ちゃん、行っといで!」


 有香ちゃんに、トンっと背中を押されて、あたし、「うわっ!? 」っと、イスから立ちあがる。


 そしたら、クラス中の視線があたしにつきささってきた。


 う~……この紙袋の中身、バレバレ……。


 右手と右足をいっしょに出して、カチコチ教室の一番後ろの席まで歩いていく。

 なのに、ヨウちゃん、顔をふせたまま。


 ちょっとぉ~っ! ヨウちゃん以外の人は、全員気づいてるんだけど~っ!!


「あ……あの……ヨウちゃん……」


 あたしは、紙袋を背中に隠して、おずおず琥珀色の髪をのぞきこんだ。


「……ん? 綾……?」


 半目のまま、ヨウちゃん、ぼんやり顔をあげる。


「あの……ね……」


「あ~」


 ヨウちゃんは目をこすって、自分のランドセルの中に手をつっこんだ。


「これ、やる」


「……え?」


 あたしの手のひらにぽんと置かれたのは、ピンクのリボンでむすばれたナイロン袋。中のチョコレートマフィンがふたつ見えている。


 ええええええ~っ !?


公開用 5巻 逆チョコ_2






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