《2》 バレンタインデーは大好きなキミと1 - ナイショの妖精さん5
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《2》 バレンタインデーは大好きなキミと1

  09, 2022 20:53
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 チョコレートのにおいが、キッチンに充満している。

 かいだだけで、舌がべとべとになるくらい、甘ったるいにおい。

 有香ちゃんちは、ピカピカの真っ赤なキッチン。大きな外国製のオーブンまでそろってる。

 有香ちゃんのお母さんが部屋でパソコンの仕事をしている間、あたしたち三人は自由にキッチンをつかっていいことになった。

 だから今は、あたしたち三人の貸切りキッチン。


「にしても、チョコづくりって、アレだよな~」


 真央ちゃんが、まな板の上で板チョコをトントン刻みながら、つぶやいた。


「チョコを刻んで、なべであっためて、ドロドロにもどして、別の型にかため直すだけじゃん? それって、チョコの形をかえるだけってことだし。『つくる』とは言えなくない?」

「そんなこと言ったって、チョコをカカオからつくるのなんてムリだから。ケーキやトリュフをつくるのも、レベルが高すぎるでしょ?」


 って、有香ちゃん。赤いエプロンをして、赤い三角巾をつけて。黒縁メガネが決まってる。


「ああ、たしかに。若干一名、幼稚園児なみのがいるしな」

「真央ちゃん、ひどいっ! あたしだって、いっしょうけんめいやってるのに~」


 あたしが包丁でチョコを、トンっとたたいたら、パリンと破片が、真央ちゃんのほっぺに飛んでいった。


「イッタぁ~。こらぁ、綾ぁ!」


「わっ!?  ご、ごめ~ん」


公開用 5巻 チョコづくり_2






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