
「ご、ごめん、ヨウちゃん! きょうはムリ。あ、あしたなら……」
「あしたって、おまえ、塾の日だろ?」
「うあ! ホントだっ!! じゃあ、あさって。ごめん、あさっては、ちゃんとつきあうから」
「ったく。調子のいいこと言っといて、これかよ」
「う~……ごめん~……」
ヨウちゃんは肩でため息をついた。
だけど、琥珀色の目はふんわり笑ってる。
「わかった。あさってな。綾、ありがとう。おかげで元気出た。とりあえず、一足先に、オレだけで調べとく」
「オッケー」
ヨウちゃんがぐっと右手のこぶしをつきつけたから、あたしも右手のこぶしをつきだして。お互い、こぶしとこぶしをぶつけて、こつん。
わっ! これって、男子の友情のあかしみたい!
「うん。やっぱ、ヨウちゃんは、そうやって、ふんぞり返ってんのが一番いいよ」
「なんだよ。オレって、いつも、そんなエラそうか?」
「まぁね~。中身はヘタレだけどね~」
「こら、おい! 待て、綾っ!! 」
廊下に走り出したら、大河原先生が教室の前で仁王立ちしてた。
「おまえら、廊下を走んな! 五時間目がはじまってるぞ~」
「うわっ! ごめんなさ~い 」
うん。ヨウちゃんなら、もうだいじょうぶ。
眉を持ちあげて、ニカッて笑ってるもん。
待っててねっ!
あした、とびきりステキなチョコをあげるからっ!
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