《1》 はじめまして、お父さん10 - ナイショの妖精さん5
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《1》 はじめまして、お父さん10

  06, 2022 21:12
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「ご、ごめん、ヨウちゃん! きょうはムリ。あ、あしたなら……」

「あしたって、おまえ、塾の日だろ?」

「うあ! ホントだっ!!  じゃあ、あさって。ごめん、あさっては、ちゃんとつきあうから」


「ったく。調子のいいこと言っといて、これかよ」


「う~……ごめん~……」


 ヨウちゃんは肩でため息をついた。

 だけど、琥珀色の目はふんわり笑ってる。


「わかった。あさってな。綾、ありがとう。おかげで元気出た。とりあえず、一足先に、オレだけで調べとく」


「オッケー」


 ヨウちゃんがぐっと右手のこぶしをつきつけたから、あたしも右手のこぶしをつきだして。お互い、こぶしとこぶしをぶつけて、こつん。


 わっ! これって、男子の友情のあかしみたい!


「うん。やっぱ、ヨウちゃんは、そうやって、ふんぞり返ってんのが一番いいよ」

「なんだよ。オレって、いつも、そんなエラそうか?」

「まぁね~。中身はヘタレだけどね~」


「こら、おい! 待て、綾っ!! 」


 廊下に走り出したら、大河原先生が教室の前で仁王立ちしてた。


「おまえら、廊下を走んな! 五時間目がはじまってるぞ~」


「うわっ! ごめんなさ~い 」


 うん。ヨウちゃんなら、もうだいじょうぶ。

 眉を持ちあげて、ニカッて笑ってるもん。


 待っててねっ!

 あした、とびきりステキなチョコをあげるからっ!






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