
「ね、ね。『あんなこと』って?」
「うるさいっ! おまえ、言わせんなっ!」
真っ赤なほっぺたを、ぷいっとそむけるヨウちゃん。
う……カワイイ……。
学校ではクールなふりしてるけど、ヨウちゃんって、ヘタレ。ちょっと照れると、ぜんぶ顔に出ちゃう。
「ヨージ」
坂の上から低い男の声がした。
ハッと、ヨウちゃんが、目を見開く。
赤かったほおが、氷をあてられたみたいに青白くなっていく。
……え?
「ヨージ、おかえり。その子はだれだい? もしかして、ヨージのガールフレンドかい?」
英語なまりのある、おどけた声。
うす雲の切れ間から、夕方の太陽が、坂の上の人物を照らしている。
茶色い背広。えりもとにはループタイ。
中折れ帽子のすき間から、ヨウちゃんとおそろいの琥珀色の髪がのぞいている。
「え? え? え? え?」
ほおのしわを深くして、琥珀色の目がほほえんだ。
「ま、ま、まさか……。よ、よ、ヨウちゃんの、お父さんっ!? 」

次のページに進む
前のページへ戻る
コミカライズ版もあります!!

【漫画シーモア】綾ちゃんはナイショの妖精さん

【漫画kindle】綾ちゃんはナイショの妖精さん
【漫画動画1巻1話】

にほんブログ村

児童文学ランキング
スポンサーサイト