《6》 ヨウちゃんの気持ち・あたしの気持ち3 - ナイショの妖精さん4
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《6》 ヨウちゃんの気持ち・あたしの気持ち3

  30, 2021 23:43
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「……え?」


 ヨウちゃんが、眉をひそめた。


「羽があれば、あたしの体は軽くなる。運動オンチのあたしが、くるくるとんだり、はねたりできる。妖精たちとだって踊れちゃう。

じっさいに羽を出さなくてもいいの。羽があるってことを、自分が知ってるだけでいい。だって、そうすれば、心の中で、みんなに自慢することができるもん。『こんなあたしでも、スゴイところはあるんだ』って、思えるもんっ! 

だからあたし、羽はなくしたくないの。ぜったいにっ!」


「……そうか」


 ヨウちゃんが、ふっと肩をゆらした。


「やっと、綾の気持ちがわかったよ。話してくれて、助かった。原因不明で逃げられるよりも、ずっといい」


 えっと……あれ……?


 ヨウちゃんが、ちょっとよそよそしかったのって、まさか、そのせい?

 あの雨の日に、「羽を切ったりしない」って言ってくれたから。それで、解決かなって思ってたんだけど。

 ヨウちゃんの中では、あたしに避けられてたことのショックが、まだのこってた?


「ご、ごめんね、ヨウちゃん!『怖い』って逃げたりしてっ!!  あたし、思い出したの。うちのママに、『相手の気持ちを大切にしろ』って、言われてたこと。ヨウちゃんは、いつもあたしの気持ちを大切にしてくれるけど、あたしはしてなかった!」


「……いいよ、もう……」


 ……え?


 トクンと心臓が鳴った。

 ヨウちゃんの右腕が、あたしのところにのびてくる。

 寒さで赤らんだ手のひらが、あたしのほっぺたにひんやりふれる。


「……綾にはホントの気持ち……いっぱいもらってる……」


 キレイな瞳。ちょっとうるんでて、琥珀の宝石みたい……。


「……ヨウちゃん……」


 頭がぼ~っとしてきて、ほっぺたに熱がこもってくる。

 見とれてたら、ヨウちゃんは、ぐっと口をひきむすんだ。


 あれ? なんかかたまってる……?


 手のひらもなんか、カチコチしてるし、へんな汗かいてるし。


公開用 4巻 ドッドッドッド_2




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