《2》 妖精のお医者さん 9 - ナイショの妖精さん1
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《2》 妖精のお医者さん 9

  06, 2018 22:04
20108092801



「フェアリー・ドクターの洗礼」って項目で、どうしてもわからなかったのが、「ラベンダーとサンダルウッドのミックスパウダーを撒きます」っていう箇所。

 ラベンダーは北海道のラベンダー畑で有名な、うす紫色のハーブの花だよね?


 じゃあ、「サンダルウッド」は?


 ママにきいて、インタネットで検索してもらったら、日本で言う「ビャクダン」っていう木のことだった。


 じゃあ、ミックスパウダーをつくるには、ラベンダーとビャクダンをまぜて粉にすればいいの?

 でも、どうやれば粉になるの?

 だいたい、ビャクダンなんて、どこに植わっている木かもわかんないし。


 う~んう~んってなやみながら、百円均一のお店にノートを買いに行ったら、「ビャクダンの香り」って、ラベルのついたお香を見つけた。


 これ、つかえるかもっ !!


 あたしの目、キラリンっ!

 となりにならんでいた「ラベンダーの香り」って書かれているお香も、いっしょに買い物かごに入れて。
 
 あたし、家に帰ると、さっそく勉強づくえの上で、二種類のお香をカッターナイフでけずっていった。


 よ~し、お香が粉になった!


 これでいちおう、ラベンダーとサンダルウッドのミックスパウダー……だよね。





 青空で、トンビがピーヒョロロロって飛んでいる。

 ほっぺたをくすぐるのは、風にそよぐ黄緑色の芝生。

 あたしはひとり、浅山のてっぺんに寝ころがってる。

 あたしのまわりに円状に巻いた粉は、手作りしたラベンダーとサンダルウッドのミックスパウダー。

 ここは、校外学習でお弁当を食べた、あの原っぱ。

「フェアリー・ドクターの洗礼は、自然にかこまれた静かな場所で行うこと」って、ノートに書いてあるのを読んだとき、あたしは真っ先に、浅山が思い浮かんだ。

 あたしにとって、身近な自然は浅山。で、寝ころがれる場所って言ったら、この芝生広場。


 日曜のお昼下がり。

 山の下じゃ、みんながご飯を食べたり、ドライブしたり、それぞれの休日を楽しんでるはずだけど。
 今、地球上には、あたししかいないみたい。


「自分のまわりに、ラベンダーとサンダルウッドのミックスパウダーを撒きます。そして、大地にあおむけに寝ましょう。自分の中の自然を意識します」


 う~ん。意識、意識……。

 ムムム……眉をひそめて、地面に意識を落としてく。

 あ……おでこを照らす太陽、あったかい。

 なんか、ぼ~っとしてきちゃう。



「……おい。なに、ひとりで野っ原に大の字になって寝てんだよ」


 顔の上から低い声がして、あたし、「むにゃ?」って目を開けた。


「う~、眠いな……。起こさないでよ……」

「おまえ、そんなんで、本気でフェアリー・ドクターになれると思ってんのか? かあさんの翻訳ノートがもったいない」


 冷めた琥珀色の目が、あたしを見おろしてる。





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