《2》 もうひとつのカップル10 - ナイショの妖精さん4
fc2ブログ

《2》 もうひとつのカップル10

  07, 2021 22:17
4-2.jpg


「紀伊美? 何言ってんだよ? 和泉にはまったく関係ないだろ?」

「なによ、智士君っ!!  和泉さんの肩を持つ気っ!? 」


 青森さんの首後ろで、銀色の羽が光った。

 黒い胴に黒い頭。黒い手足を持った虫のように小さな人間が、青森さんの首にしがみついている。


「っ!」


 ヨウちゃんが、青森さんの後ろで、柏手を打った。


「……え?」


 青森さんがまばたきする。


「……あれ? わたし……?」


 怒りで染まったほおから、赤みが抜けていく。

 パチパチと目をしばたかせて、それから青森さんは後ろのヨウちゃんをふり返った。


「……中条君? 何してるの?」


「……あ……えっと……。いや……その、なんだ?」


 柏手を打った両手を閉じたまんまで、ヨウちゃん、愛想笑い。だけどすぐに真顔にもどって、背すじをのばした。


「青森。今は人のせいにしてる場合じゃないだろ? 窪に、話すことがあったんじゃないのか?」


 青森さんの目に、強く澄んだあかりがともった。


「う、うんっ!」


「葉児? なんの話だ? さっきの黒い虫みたいなのは、いったい……?」


 青森さんは、ぎゅっとくちびるをかみしめて。

 窪のわきの下に、両腕をまわすと。

 顔をうずめて、抱きついた。






次のページに進む

前のページへ戻る



コミカライズ版もあります!!


【漫画シーモア】綾ちゃんはナイショの妖精さん


【漫画kindle】綾ちゃんはナイショの妖精さん


【漫画動画1巻1話】



にほんブログ村


児童文学ランキング
スポンサーサイト



Comment 0

What's new?