
「は、はぁ?」
「和泉から盗んだ宝物は、なんと~」
誠が、ダウンジャケットのポケットから、なにかを取り出した。
あ、あれっ!
陶器の鈴。へたくそな花の絵が描かれてる。赤い絵の具がだら~って、たれさがっちゃって、血がしたたり落ちてるみたい。
「あ~っ! それ、あたしが絵つけした鈴っ!! なんで、誠が持ってるのっ!? 」
「あはは。陶芸教室の人がまちがえて、オレのマグカップのほうに、いっしょに入れて、梱包しちゃったみたい。
さてさて、海賊が盗んだお宝は、この鈴で~すっ! 和泉はこのお宝を、オレから取り返さなきゃならないっ! 海賊が活動できる範囲は、永遠の子どもの国の中。つまり、ベイランドの中ね。じゃ~、和泉ぃ、オレから、お宝を取りもどしてごらんっ!! 」
えええええ~っ!?
大きな口でにっこにっこ笑いながら、誠は入場門をくぐって、かけだしていく。
「ま、待って、誠! 勝手に決めないでっ!! 」
あたしも、あわてて、ゲートに立ってるおねえさんにパスポートを見せた。
入場門をくぐると、大広場。三メートル以上ありそうな白い巨大なクリスマスツリーがそびえてる。
スピーカーから流れる、陽気なクリスマスソング。
サンタのかっこうをしたおじさんが、子どもたちにふうせんをくばってる。
「う、う、う、ウソ~っ!? 」
あつまってくる子どもたちのせいで、誠がもうどこにいるのかわからない。

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