《1》 好きな人の、好きな人18 - ナイショの妖精さん3
fc2ブログ

《1》 好きな人の、好きな人18

  12, 2021 21:26
2021032618.jpg





 きょうも、きのうと同じ冷たい空。葉の落ちたイチョウ並木。

 朝ご飯を食べてから、あたしは高台を、ヨウちゃんち目指してのぼっていった。

 自宅カフェ「つむじ風」の開店時間は十時。

 まだ九時だから、玄関には「準備中」のプレートがさがってる。


 ……早く着きすぎちゃったかな?


 ドアホンを鳴らしたら、すぐにガチャっと、ドアが開いた。


「あら? 綾ちゃん。おはよう」


 ドアをいっぱいに開けて、ヨウちゃんのお母さんが、ぽっくりエクボで迎えてくれる。


「えへへ、おはようございます。朝早くにすみません~」


 だってヨウちゃんが「待ってる」なんて言うから。朝になるのも待ち遠しくて、とんできちゃったよ。


「いえいえ、へいきよ。ヨウちゃん、綾ちゃんが来てくれたわよ」


 お母さんにつられて店内を見たら、ひとつのテーブルにだけ、三組のティーセットがのっていた。

 そのこっち側の席に腰かけて、あたしをふり返ってる、白いトレーナー姿のヨウちゃん。

 対面に座る、見慣れた黒縁メガネの女子に、あたしの心臓、こおりついた。


 有香ちゃん……っ!?



2021032601.jpg






次のページに進む

前のページへ戻る




にほんブログ村


児童文学ランキング



スポンサーサイト



Comment 0

What's new?