
きょうも、きのうと同じ冷たい空。葉の落ちたイチョウ並木。
朝ご飯を食べてから、あたしは高台を、ヨウちゃんち目指してのぼっていった。
自宅カフェ「つむじ風」の開店時間は十時。
まだ九時だから、玄関には「準備中」のプレートがさがってる。
……早く着きすぎちゃったかな?
ドアホンを鳴らしたら、すぐにガチャっと、ドアが開いた。
「あら? 綾ちゃん。おはよう」
ドアをいっぱいに開けて、ヨウちゃんのお母さんが、ぽっくりエクボで迎えてくれる。
「えへへ、おはようございます。朝早くにすみません~」
だってヨウちゃんが「待ってる」なんて言うから。朝になるのも待ち遠しくて、とんできちゃったよ。
「いえいえ、へいきよ。ヨウちゃん、綾ちゃんが来てくれたわよ」
お母さんにつられて店内を見たら、ひとつのテーブルにだけ、三組のティーセットがのっていた。
そのこっち側の席に腰かけて、あたしをふり返ってる、白いトレーナー姿のヨウちゃん。
対面に座る、見慣れた黒縁メガネの女子に、あたしの心臓、こおりついた。
有香ちゃん……っ!?

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