
こ、こ、こ、これって、お姫さま抱っこっ!?
あたしたちの前で、誠、口ぱっく~。
リンちゃんも顔、真っ赤でつっ立ってるし。クラスメイトたちも、ほっぺた赤くして、ザワザワしてる。
「ちょ、ちょっと! ヨウちゃんてば、なにすんのっ!? 」
足をバタバタしたら、ヨウちゃんの腕から落ちそうになった。
「わっ!? 」
「アホっ! 腕は、オレの首にまわしとけ」
言われるままに、両手をのばしてヨウちゃんの首後ろにつかまったら、胸と胸がくっついた。
ドク、ドク、ドクって、速く鳴りまくってるのって、ヨウちゃんの心臓?
バカなヨウちゃん。緊張するんだったら、おかしなことしなければいいのに。
「う……わかったよ! わかったから、和泉をおろせって。葉児ぃ!」
「って言うか、お姫さま抱っこは、とりやめ! どうせ、誠のピーターパンには、和泉さんなんか、持ちあげられないんだから!」
リンちゃん、脚本をほうりだしてる。
「なぁ……綾。……ホントに誠と……」
「……え?」
だけど、ヨウちゃんはもう、口を閉じて、あたしをゆかにおろした。
「じゃあ、次のシーン行くぞ」
エラそうに胸をはって、勝手に指示を出すヨウちゃん。
あたしから背を向けて、知らんぷり。
なんなの、この人? 挙動不審っ!
次のページに進む
前のページへ戻る

にほんブログ村

児童文学ランキング
スポンサーサイト