《3》 デートスポットには、オシャレして 2 - ナイショの妖精さん2
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《3》 デートスポットには、オシャレして 2

  19, 2019 22:59
2019011701



「――うわっ!! 」


 あたし、ベッドからとびおきた。


 怖い、怖い、怖いっ !!


 体中ギンギンに冷え込んで、ガクガクガクガク、縦に震える。


「ゆ、ゆ、夢っ!? 」


 夢でしょ。これって、ただの夢だよねっ!!


 最後に見た、真っ白に見開かれた、お父さんの目。


 ヨウちゃんの目に似すぎてる~……。





 教室に入って行ったら、あいかわらずガヤガヤとうるさかった。

 黒板の下で、山田としゃべっている誠。大きな口を横に開いて笑ってる。

 女子たちは今朝も、教室の真ん中の列、一番後ろのヨウちゃんの席が、集合場所っていうようにあつまっていく。

 リンちゃん、ツインテールにキラキララメのシュシュをつけて。きょうも、髪型に気合を入れてる。

 女子たちの中で、ほおづえをついて、窓のほうを見ているヨウちゃんに、ホッとした。


 朝の怖い夢。

 だけど、夢は夢。


「綾ちゃん、おはよ」

「綾、おはよ~」

「有香ちゃん、真央ちゃん、おはよう」


 あたしもランドセルを背負って、窓際、前からニ番目の、自分の席へ歩き出す。


「中条君。中条君てば」


 リンちゃんの声がきこえてきて、あたしは足をとめた。


「どうしたの? きょうは、ずっとだまっちゃって」


 ほおづえから顔をあげて、ヨウちゃんがぼんやり、リンちゃんを見る。


「……ああ……悪い。今は、ちょっとひとりにしてほしい」


 ……え?


 リンちゃんと青森さんが、顔を見合わせる。


 そりゃ、おどろくよ。

 だって、いつもはヨウちゃん。あたしといるときになにがあろうとも、学校では、「家と学校は別」って顔をして、ふんぞり返ってるんだから。


「中条君、具合悪いの? 保健室行く?」

「いや……へーき」


 また、だまっちゃったヨウちゃんに、女子たちは、ふり返りふり返り、そろそろとはなれてく。

 あたし、ランドセルの取っ手をぎゅっと両手でにぎりしめて、一歩、二歩、ヨウちゃんの席まで歩いて行った。

 ふだん、ここの席には、あたし、自分から近寄らない。だって、リンちゃんたちのテリトリーだもん。


「……ヨウちゃん……?」


 ヨウちゃんが、ハッとしたように、あたしを見あげた。


 ……え? 目赤い……。


 それに目の下に、うっすら青いクマができてる。


 ぞっとした。


 ちがうよね。

 夢と現実はちがうよねっ!?


 ヨウちゃんの視線がふっと、窓にそれた。


 ……どうしよう。話しかけらんない。


 浅山で手をつないでたのは、ついきのうのことなのに。



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