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《1》記憶の実、ころり 1

  13, 2018 12:19
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だって、しょうがないじゃない。

あたしは妖精なんだから。

人間の世界だと生きづらいんだよ。






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   1



 頭のてっぺんには、くせ毛がくるん。


 あたし、肩につくくらいの長さの髪を、毎朝ドライヤーでのばして、ストレートにしてくる。だけど、この一房だけは、ぜったいに出てきて、そり返る。

 これ、マンガとかアニメだと、「アホ毛」って呼ばれてる。
 アホっ子の頭上にあって、アホっ子をさらにアホっぽく見せてるから、「アホ毛」。



「あれ~っ!?  どうして? ない、ない、ない~っ!! 」


 アホ毛をゆらして、あたしはリュックの中をかき回してた。

 ママが今朝、用意してくれたお弁当。「持っていきなよ」って、リビングのテーブルに置いといてくれたのに……。


「あたしってば、リュックに入れるの、わすれちゃったんだっ!」


 頭を抱えて空をあおいだら、抜けるような青だった。

 六年生の校外学習。

 九月に入ったけど、暑さはぜんぜんとれなくて、Tシャツの背中に汗がしみてくる。


 ここは、学校から歩いて三十分行ったところにある、浅山あさやまっていう小さい山の、遊歩道を二時間のぼったところにある、そのてっぺん。

 一見どこにでもある里山なんだけど、花田(はなだ)市の歴史がたくさんのこっている山なんだとか。

 だから、「きょうは地元の歴史を勉強しましょう」 って、郷 土資料館のえらい先生がやってきて、午前中は「海がどう」とか「遺跡がどう」とかむずかしい説明をしてくれた。

 そうして、待ちに待った、ランチタイム。


――の、はずなんだけど。








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